ある よるのことです。
ダンマリヶ丘は、
しーん。
とても
しずかでした。
しぃちゃんの おみせも、
もう
おきゃくさんは
いません。
2かいの モカさんと ヂムも、
こんやは おでかけです。
でも、
とびらには
かぎが
かかっていませんでした。
なかでは――
ぐうぐう。
しぃちゃんが、
いつもの いすで
ねています。
そのころ。
みせの そとに、
ひとりの おとこが
たっていました。
おとこは、
まどから
なかを
のぞきました。
「……ねてる」
もういちど
のぞきました。
「ほんとに
ねてる」
おとこは
にやりと しました。
「こりゃあ
ちょろいな」
そう。
この おとこは、
どろぼうでした。
そーっと。
とびらを
あけます。
からん。
ちいさく
ベルが なりました。
どろぼうは
びくっ。
しぃちゃんを
みました。
「……」
ぐうぐう。
「……おきないのかよ」
どろぼうは
そろり
そろりと、
みせの なかへ
はいりました。
「ん?
ひげがかいてある
…ま、いいか」
そして、
カウンターの うえにある
ちいさな
おかねの はこを
みつけました。
「へへへ」
どろぼうは
はこを あけました。
なかには、
おかねが
はいっています。
どろぼうは
それを てに とりました。
そのときです。
はこの そこに、
ちいさな かみが
おいてあるのに
きづきました。
そこには――
「ひきだしの
うえから 2ばんめ」
と、
かいてあります。
「……なんだ?」
どろぼうは
おかねを にぎったまま、
ひきだしを
あけてみました。
すると、
また
かみが ありました。
「たなの
みぎから 3ばんめ」
「……」
どろぼうは
たなへ いきました。
みぎから
ひとつ。
ふたつ。
みっつ。
あけます。
すると――
また
かみ。
「つぎは
つくえの した」
「なんなんだよ」
そう いいながら、
どろぼうは
つくえの したを
のぞきました。
そこには
ちいさな はこ。
あけると――
また
かみ。
「おくの
ものいれ」
どろぼうは
だんだん、
じぶんが
なにを しにきたのか
わからなく
なってきました。
でも、
ここまで きたら
きになります。
おくの
ものいれを あけました。
すると、
そこには――
ちいさな
おかしが
ひとつ。
そして、
また
かみが ありました。
どろぼうは
よみました。
「これでも
どうぞ」
「……」
どろぼうは
おかしを みました。
それから、
しぃちゃんを
みました。
ぐうぐう。
もういちど
かみを みると、
したに
ちいさく
こう かいてありました。
「ダンダンちゃが
よく あいます」
「……そこまで
かくのかよ」
ダンダンちゃは、
ダンマリヶ丘 めいさんの
おちゃです。
どろぼうは
しばらく
たっていました。
それから、
おかしときゅうすを
もって
また
みせの ほうへ
もどりました。
しばらくして。
どろぼうは、
しぃちゃんの
むかいの せきに
すわっていました。
ずずず。
おちゃを
のみます。
さく。
おかしを
たべます。
ずずず。
「……うまい」
むかいでは、
ぐうぐう。
しぃちゃんが
ねています。
どろぼうは
また、
ずずず。
さく。
ずずず。
すっかり
くつろいでいました。
やがて、
おかしが
なくなりました。
どろぼうは
てのなかに
にぎったままだった
おかねを みました。
しばらく
みていました。
そして――
たちあがりました。
おかねの はこまで
もどると、
てのなかの おかねを
もとの ばしょへ
そっと
もどしました。
ぱたん。
はこを
しめます。
どろぼうは
もういちどだけ
しぃちゃんを みました。
ぐうぐう。
「……ごちそうさま」
ちいさな こえで
いいました。
そして、
そっと
とびらを あけました。
からん。
そっと
しめました。
からん。
ダンマリヶ丘は、
また
しずかに なりました。
みせの なかでは――
ぐうぐう。
しぃちゃんは、
なにも しらずに
ひげをかかれたまま
きもちよさそうに
ねていました。

コメント