ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【第11話】ジュウスケとクロンのベンドくらべ

ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち

あるひ、
おおきな きの したで、
ジュウスケが
ブルースハーモニカを ふいていました。

ぐにゃ。
ぎゅいん。
ぷわあ。

いかにも ブルース、
という おとです。

すこし どろくさくて、
すこし いばっていて、
でも とても
きもちよさそうでした。

その すぐ そばで、
ヂムが
めを まるくして
きいていました。

そこへ
クロンが
やってきました。

ジュウスケは
にやっと わらって
いいました。

「クロン、クロマチックで
ベンド できるか?」

クロンは
すました かおで
こたえました。

「できますよ。
ただ、あなたの ベンドとは
すこし ちがいますが」

ジュウスケは
ますます うれしそうに
なりました。

「じゃあ、
くらべてみようぜ♪」

クロンは
ちいさく ためいきをついて、
でも すこしだけ
わらいました。

「まあ、
つきあいましょうか」

まずは
ジュウスケです。

いちど
ふうっと いきを はいてから、

ぐいーん。
ぎゅわ。
ぷあお。

ジュウスケは
「どうだ」
という かおです。

つぎに クロンが、
クロマチックを
そっと かまえました。

クロンも
いちど
ふうっと いきを はいてから、

ぷぉーん

おとは ちゃんと
まがりました。

でも ジュウスケみたいに
ぐいん、とは いきません。

すこし ほそくなって、
すこし ちがう いろの
ベンドでした。

ジュウスケは
まんぞくそうに
うなずきました。

「ほらな♪」

クロンは
おちついた かおで
いいました。

「ええ。
ですから、
ちがうと いったでしょう」

はじめから
わかっていたような かおです。

その よこで
ヂムが、
きりっとした かおで
ミニハーモニカを ふきました。

ぷう。
ぴょ。
ぷぴー。

どうやら じぶんも ベンドくらべに
くわわって いるつもりのようです。

ジュウスケと クロンは
おもわず わらいました。

そのときです。

すこし はなれた ところで
バンスが
バスハーモニカを
かまえました。

ポン。
ポン。
ポン。
ポン。

ブルースの
ベースラインです。

バンスは
なにも いわずに、
どっしりと
おとを ならしています。

すると ジュウスケは、
すぐに その うえへ
ふきはじめました。

ぐにゃ。
ぎゅいん。
ぱらら。
ぷわあ。

いつもの
ジュウスケの ブルースです。

からだが かってに
うごきそうになります。

クロンは
それを だまって
きいていました。

それから
ちいさく うなずくと、
こんどは じぶんが
はいりました。

するすると、
おとが つながっていきます。

すこし おしゃれな
ブルースでした。

バンスの おとも、
さっきまでの
はずむ ベースから、
こんどは
すいすい あるくような
ベースに かわりました。

ジュウスケは
おもわず クロンの ほうを
みました。

そして
にやっと わらって
また ふきだしました。

ぐいん。
ぱらら。
ぎゃお。

クロンも
すっと こたえます。

たらり。
するる。
ぴたり。

ジュウスケの ブルース。
クロンの ブルース。
どちらも ぜんぜん
ちがいます。

でも どちらも
とても かっこいい
ブルースでした。

その よこで
ヂムも
いちにんまえの かおをして
ふいて いました。

ぷう。
ぴょ。
ぷぴー。

でも やっぱり
いちばん ちいさくて、
いちばん へんな おとです。

しばらくして、
おとが すうっと
おわりました。

かぜが
ちゃばたけを
さらさら ゆらしました。

ジュウスケは
クロンを みて
いいました。

「……クロン、
それ ずるいな」

クロンは
すました かおで
こたえました。

「あなたの ほうこそ」

バンスは
にこにこしながら、
また ちいさく
ポン、と
ふきました。

ヂムも
まけずに

ぷぴー。

と ふきました。

すると
ジュウスケも クロンも、
とうとう
こえを だして
わらってしまいました。

ベンドくらべは、
いつのまにか
どこかへ いってしまいました。

ダンマリヶ丘の きの したには、
それぞれの ハーモニカのかっこよさだけが、
たのしく のこっていたのでした。

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