ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【第37話】バンスのおべんとう

バンスは、

おくさんの つくる
おべんとうが

なにより
だいすきです。

おおきな
おべんとうばこに、

ごはんを
たくさん。

たくさん。

つめてもらいます。

あるひ。

えんそうの まえに、

みんなで
おひるを たべることに
なりました。

レモも、

クロンも、

ジュウスケも、

それぞれ
おべんとうを
ひろげています。

バンスも、

うれしそうに
かばんを
あけました。

ところが――

「……ない」

バンスは
かばんの なかを
もういちど
さがしました。

「……ない」

こんどは
もっと よく
さがしました。

やっぱり
ありません。

「おべんとうが……

ない」

バンスは、

このよの おわりみたいな
かおを しました。

レモが
いいました。

「バンスさん、

これ、
たべる?」

クロンも、

じぶんの おべんとうを
すこし
さしだしました。

「ぼくのも
あるよ」

バンスは、

しょんぼりしたまま
くびを ふりました。

「……いい」

ジュウスケが
いいました。

「そんなに
がっかりするか?」

バンスは
なにも こたえません。

みんなが
おひるを
たべおわるころ――

「そろそろ
リハーサルだぞー!」

ジュウスケが
いいました。

みんなは
おべんとうを しまって、

がっきを
じゅんびしはじめました。

バンスも、

バスハーモニカの
おおきな ケースを
もってきました。

そして、

ぱかっ。

ケースを
あけました。

「……」

なかに
はいっていたのは――

バスハーモニカでは
ありませんでした。

おおきな
おべんとうばこです。

バンスの かおが、

ぱあっ。

と
あかるくなりました。

「あった」

ジュウスケが
いいました。

「いや、

バスは!?」

「……」

バンスは
ケースの なかを
みました。

おべんとう。

それだけです。

どうやら、

バスハーモニカは
いえに
わすれてきたようです。

「バンス!

バス
わすれたんだろ!?」

ジュウスケが
いいました。

ところが、

バンスは
おべんとうばこの
ふたを あけました。

「おい!

なに
くってんだよ!」

バンスは、

おくさんの
おべんとうを

もぐもぐ。

もぐもぐ。

ジュウスケは
あきれています。

「もう
リハーサルだぞ!」

バンスは
うなずきました。

もぐもぐ。

そして、

さいごの
ひとくちまで

きれいに
たべました。

バンスは、

とても
まんぞくそうな かおで
たちあがりました。

「とってくるね」

そういうと、

おべんとうの ふたも
しめずに、

いきおいよく
はしりだしました。

どたどたどた……。

ジュウスケが、

のこされた
おべんとうばこを
のぞきこみました。

ごはんも、

おかずも、

ひとつも
のこっていません。

「かんしょくかよ!」

そして、

とおくへ
はしっていく
バンスに むかって、

ジュウスケが
さけびました。

「はー!

みがいてこいよー!」

バンスは
ふりむかずに、

おおきく
てを あげました。

レモと クロンは、

かおを みあわせて、

くすり。

と
わらいました。

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