ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【第14話】ヂムの なまえ

ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち

それから
すこし たったころです。

モカさんは
ちいさな あかんぼうを
おんぶして、
おかの みちを
あるいていました。

くびには、
あの あかい
ミニハーモニカ。

ゆらゆら ゆれて、
ひなたで ぴかっと
ひかっています。

おかの ひとが
くすっと わらって
いいました。

「あれまあ。
モカさん、
ちいさいの しょってるねえ」

モカさんは
あるきながら
いいました。

「うん。
まあ、そんな かんじだよ」

すると
べつの ひとが、
あかんぼうの くびもとを
のぞきこんで いいました。

「その ハーモニカ、
なんて かいてあるんだい?」

「どれどれ」

みんなで
ちょっと のぞいて、

「d、i、 m ……ヂム?」

と いいました。

「ヂムかねえ」

「ヂムだねえ」

「このこ、
ヂムだねえ」

モカさんは
「いや、これは……」
と いいかけて、
そのまま やめました。

おんぶの うえで、
あかんぼうが
うれしそうに

ぷう。

と ふきました。

みんなは
わらいました。

「やっぱり ヂムだねえ」

「うん、ヂムだねえ」

そのひから、
おかの ひとたちは
その あかんぼうを
ヂムと よぶように
なりました。

「お、ヂム」

「ヂムちゃん、
ごきげんだねえ」

「きょうも
あかいの さげてるねえ」

だれかが よべば、
ヂムは
うれしそうに

ぷう。

と こたえます。

モカさんは
さいしょの うちは、
「こぞう」
と よんでいました。

でも、
まわりが みんな
ヂム、ヂムと よぶので、
そのうち
じぶんでも そう よぶように
なりました。

あるひ、
こうぼうで
モカさんが いいました。

「ヂム、
それは だめだぞ」

すると ヂムは
ぱっと かおをあげて、
にこっと わらいました。

モカさんは
その かおをみて、
ちょっとだけ
ふしぎそうな かおを しました。

それから
すこし わらって
いいました。

「……そうか。
おまえ、
ヂムなんだな」

ヂムは
それが じぶんの なまえだと
ちゃんと わかっていたみたいに、

ぷうー。

と もういちど
ハーモニカを
ふきました。

こうして
モカさんの こうぼうに
やってきた ちいさな あかんぼうは、
いつのまにか
ヂムと よばれるように
なったのでした。

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