ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【第13話】あかい ミニハーモニカ

あさです。

モカさんは
ふしぎな ひびきで
めを さましました。

「……ん?」

ねぼけまなこで
おとの するほうを みると――

きのうの あかんぼうが、
あの あかい ハーモニカを
ふいているのです。

ぶわあ。
びややん。
びょーん

なんだか
こころが ぞわっと するような
ふしぎな ひびきです。

モカさんは
むくりと おきました。

「おいおい、
なにしてるんだ」

あかんぼうは
おかまいなしに、
いっしょうけんめい
ふいています。

モカさんは
そっと
その ハーモニカを
とりあげました。

「それは まだ、
おまえには はやいよ」

すると あかんぼうは、
いっしゅん ぽかんとして――

ふええええん!

おおきな こえで
なきだしました。

「わっ、わっ、わっ」

モカさんが
あわてている あいだに、
あかんぼうは
はいはいで するすると
うごきだしました。

つくえの うえの
ハーモニカへ
てを のばします。

ぷっ。
ぴっ。
ぱあ。

「こら、
それは おきゃくさんのだ!」

つぎは こっち。
また つぎも こっち。

ぷぷっ。
ぴょー。
ぷわっ。

「だめだって、
それも だめ、
それも ちがう!」

こうぼうの なかを、
あかんぼうは
するり するりと
はいはいで
うごきまわります。

モカさんは
おいかけながら、
もう へとへとです。

「こら、こぞう。
まてったら」

でも こぞうは
ちっとも まちません。

そのとき、
モカさんは
つくえの すみに
ちいさな
あかい ミニハーモニカが
あるのを
おもいだしました。

「……あ」

モカさんは
それを てにとると、
きのうの あかい ハーモニカを
ちらっと みました。

それから、
ちょいちょいっと
もじを かきました。

dim

ひもを とおして、
あかんぼうの くびに
かけてやります。

「ほら。
こぞうのは これだ」

あかんぼうは
ぴたりと
うごきを とめました。

くびの まえで
ゆれる
あかい ミニハーモニカを、
じっと みています。

それから
にっこり
わらいました。

「おお……」

モカさんが
びっくりするほど、
うれしそうな かおです。

こぞうは
その ミニハーモニカを
もって、

ぷうー。

と ふきました。

ちいさくて、
やさしい おとが
こうぼうに ひろがります。

さっきまで
あんなに あわてていた
モカさんも、
その おとをきいて
ちいさく わらいました。

「よしよし。
それなら いい」

それから しばらく、
モカさんは
その あかんぼうを
「こぞう」
と よんで くらしました。

くびには
いつも、
あの あかい
ミニハーモニカ。

こぞうは
それを だいじそうに
ぶらさげて、
ときどき

ぷう。

と ふくのでした。

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