あさです。
モカさんは
ふしぎな ひびきで
めを さましました。
「……ん?」
ねぼけまなこで
おとの するほうを みると――
きのうの あかんぼうが、
あの あかい ハーモニカを
ふいているのです。
ぶわあ。
びややん。
びょーん
なんだか
こころが ぞわっと するような
ふしぎな ひびきです。
モカさんは
むくりと おきました。
「おいおい、
なにしてるんだ」
あかんぼうは
おかまいなしに、
いっしょうけんめい
ふいています。
モカさんは
そっと
その ハーモニカを
とりあげました。
「それは まだ、
おまえには はやいよ」
すると あかんぼうは、
いっしゅん ぽかんとして――
ふええええん!
おおきな こえで
なきだしました。
「わっ、わっ、わっ」
モカさんが
あわてている あいだに、
あかんぼうは
はいはいで するすると
うごきだしました。
つくえの うえの
ハーモニカへ
てを のばします。
ぷっ。
ぴっ。
ぱあ。
「こら、
それは おきゃくさんのだ!」
つぎは こっち。
また つぎも こっち。
ぷぷっ。
ぴょー。
ぷわっ。
「だめだって、
それも だめ、
それも ちがう!」
こうぼうの なかを、
あかんぼうは
するり するりと
はいはいで
うごきまわります。
モカさんは
おいかけながら、
もう へとへとです。
「こら、小僧。
まてったら」
でも 小僧は
ちっとも まちません。
そのとき、
モカさんは
つくえの すみに
ちいさな
あかい ミニハーモニカが
あるのを
おもいだしました。
「……あ」
モカさんは
それを てにとると、
きのうの あかい ハーモニカを
ちらっと みました。
それから、
ちょいちょいっと
もじを かきました。
dim
ひもを とおして、
あかんぼうの くびに
かけてやります。
「ほら。
小僧のは これだ」
あかんぼうは
ぴたりと
うごきを とめました。
くびの まえで
ゆれる
あかい ミニハーモニカを、
じっと みています。
それから
にっこり
わらいました。
「おお……」
モカさんが
びっくりするほど、
うれしそうな かおです。
小僧は
その ミニハーモニカを
もって、
ぷうー。
と ふきました。
ちいさくて、
やさしい おとが
こうぼうに ひろがります。
さっきまで
あんなに あわてていた
モカさんも、
その おとをきいて
ちいさく わらいました。
「よしよし。
それなら いい」
それから しばらく、
モカさんは
その あかんぼうを
「小僧」
と よんで くらしました。
くびには
いつも、
あの あかい
ミニハーモニカ。
小僧は
それを だいじそうに
ぶらさげて、
ときどき
ぷう。
と ふくのでした。

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