ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【第2話】しぃちゃんの店をとおって

ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち

ダンマリヶ丘の さかみちを
すこし のぼると、
ふるい にかいだての いえが あります。

いっかいは、
モカさんの おかあさん、
しぃちゃんの おみせです。

にかいは、
モカさんの しゅうりこうぼうです。

あさになると、
ぽつり ぽつりと
ひとが やってきます。

でも しぃちゃんは、
きょうも ぐうぐう
ねています。

まどの ちかくの いつもの いすで、
きもちよさそうに
ねています。

だれかが しぃちゃんの かおをみて、
くすっと わらいました。

「あれまあ。
きょうは おひげが はえてるよ」

よくみると、
ねている しぃちゃんの かおに、
くるんと かわいい おひげが かいてあります。

「また ヂムだねえ」

みんなは くすくす。
でも しぃちゃんは、
すやすや ねたままです。

おきゃくさんたちは
もう なれたものです。

じぶんで きゅうすを もって、
じぶんで おちゃを いれて、
じぶんで すきな せきに すわります。

あたたかい おちゃを ひとくち のんで、
ほうっと ひといき。

のみおわったら、
ちゃりん と
はこの なかに おかねを いれます。

だれも あわてません。
だれも おこりません。

しぃちゃんの おみせは、
そういう おみせなのです。

うれしかったことを
ぽつりと はなす ひとも います。

かなしかったことを
ぽつりと こぼす ひとも います。

しぃちゃんは ねているのに、
なんだか ちゃんと
きいてくれているような
きがするのでした。

そのときです。

にかいから
ちいさな おとが きこえてきました。

こんこん。
ことこと。
きゅっきゅっ。

モカさんが
ハーモニカを なおしている おとです。

その あいだに、

ぷうー。
ぴー。
ぷぷっ。

ちいさな ハーモニカの おとも
まじります。

「ああ、ヂムも いるねえ」

おきゃくさんたちは
くすっと わらいました。

おみせの おくには、
きしきし いう かいだんが あります。

モカさんの こうぼうへ いくひとは、
みんな
しぃちゃんの おみせを とおります。

おちゃの いい においの する みせを ぬけて、
きしきし。
きしきし。

かいだんを のぼっていくのです。

きょうも また、
だれかが おちゃを のんで、
だれかが かいだんを のぼっていきます。

しぃちゃんは ねています。
にかいでは モカさんが なおしています。
ヂムの ハーモニカも なっています。

ここは、
しぃちゃんの おみせを とおって
たどりつく、
モカさんの しゅうりこうぼう。

ダンマリヶ丘の
やさしい じかんは、
この いえの なかを
きょうも ゆっくり
めぐっているのでした。

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