ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【15話】かいけつバロチ

ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち

あるひ、
カタラズの きの したで、
こどもたちが
いっしょに ハーモニカを
ふいていました。

みんなで おなじ きょくを
ふいていたのです。

そのこも、
いっしょに
ふいていました。

でも――

すうっと、
ちがう おとが
まじりました。

あなを
ひとつ
まちがえたのです。

そのこは
あわてて
なおそうとしました。

でも また、
ちがう あなに
いってしまいました。

そのこは
「あ、まただ」
と おもいました。

しばらくして、
そのこは
そっと ふくのを やめました。

そして
みんなの うしろへ、
すこしだけ
さがりました。

フクさんが、
うしろから
そのようすを
みていました。

カンコン
カンコン
ギコギコ
トントン

その よるから、
フクさんの いえから
そんな おとが
きこえてきました。

それから すうじつご。
カタラズの きの したに、
じてんしゃに ヘンテコな きかいを つけた、
ヘンテコな いしょうの ひとが
あらわれました。

こどもたちは
ぽかんと しました。

その ひとは、
ばさっと マントを ゆらして
いいました。

「われこそは
かいけつバロチ!
がくふが にがてな こども!
あつまれー!」

こどもたちは、
なんだか よく わからないまま
ぞろぞろと
あつまってきました。

フクさんが みていた
あのこも、
いちばん まえに
すわりました。

それを みた
ジュウスケが、
おもわず いいました。

「あれ?
フ、フクさ……」

すると クロンが、
すかさず いいました。

「ジュウスケ!」

バロチは
むねを はって、
もういちど こえを はりました。

「おちゆくバーが
おととなる!
しろは ふくおと
あおは すう!
くろわくつきは
とくべつだ!
バロチの からくり
とくとみよ!」

バロチは
ハンドルを ゆっくり
まわしはじめました。

すると、
そうちの なかの
ながい かみが
すうっと したへ
ながれはじめました。

その かみに くっついた
あおい バーと
しろい バーが

すうーっ。
すうーっ。

と、おりてきます。

しろは ふくおと。
あおは すうおと。

バーが
したの あなの うえに
ぴたりと きたとき、
その あなを ふけば、
おなじ おとが
だせるのです。

それを つづけると、
きょくに なるのです。

あのこも、
じぶんの もっている
ハーモニカで
ためしてみました。

すると、
あなの いちも、
おとの ながさも、
ちゃんと ふけるのです。

「あ……」

そのこは
びっくりしたような かおを
しました。

バロチは、
ゆっくり ゆっくり
なんども おなじ きょくを
くりかえしました。

そのこは、
じぶんが いつも
どこで まちがえるのか、
すこしずつ
わかってきました。

うごかすところで
うごいていなかったり、

うごかさなくていいところで
うごかしてしまったり
していたのです。

そして もういちど、
こんどは さっきより
ずっと なめらかに
ふけました。

そのこの
すっきりした かおを みて、
バロチは いいました。

「きょうは ここまで!
さらにはげむのだぞ、
しょくん!」

そういうと、
おもい そうちを
じてんしゃに つんで、
ふらふらしながら
かえっていきました。

それを みた
ジュウスケが、
おおごえで いいました。

「すげー!
フクさ……
かいけつバロチ!」

クロンは
しずかに いいました。

「ですね。」

あのこは
じぶんの ハーモニカを
そっと にぎって、
うれしそうに
みつめていました。

カタラズの きの したには、
そのひ
ふしぎな おとと、
ふしぎな かいけつの ことが
いつまでも
のこっていたのでした。

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