クロンが
はじめて
ダンマリヶ丘に きたころの
ことです。
クロンは
クロマチックハーモニカを
とても ていねいに
ふく ひとでした。
おとは きれいで、
どの おとも
きちんと していました。
でも、
すこしだけ
こまっていました。
ダンマリヶ丘の ひとたちは、
みんな やさしいのです。
でも、
あまり たくさんは
しゃべりません。
「うん」
「そうだねえ」
「いい かぜだねえ」
それくらいです。
クロンは
しぃちゃんの おみせで
おちゃを のみながら、
ぽつりと いいました。
「このおかでは、
どうやって
なかよくなれば
いいのでしょう」
すると、
となりで おちゃを のんでいた
おかの ひとが、
にこっと わらいました。
「じゃあ、
ともジャム してみたらいいよ」
「ともジャム、ですか」
「うん。
このおかの
あいさつみたいなもんだよ」
「どちらかが
さいしょの音をならして、
しかけられたら、
のるのが ふつう。
でも、
うまさを
くらべるものじゃないよ」
クロンは
まだ よく わかりませんでした。
でも、
なんだか
きになりました。
ともジャム。
ふしぎな
ことばです。
その かえりみち、
クロンは
カタラズの きの したで
バンスに あいました。
バンスは
バスハーモニカを もって、
にこにこ していました。
クロンは
どう あいさつしようか、
すこし まよいました。
そのときです。
バンスが
バスハーモニカを
そっと かまえました。
ポン。
ポポン。
ポン。
ポポン。
ひくくて、
まるくて、
なんだか
からだが うきうきする
リズムでした。
クロンは
どう ふけばいいのか
かんがえようとしました。
でも、
かんがえるより 先に、
くちもとが
ハーモニカを さがしていました。
ぽう。
クロンの おとが、
バンスの リズムの うえに
そっと のりました。
バンスは
にこっと しました。
クロンも
すこしだけ
わらいました。
バンスは
低い音を
ころころ
ころがしました。
ポン。
ポポン。
クロンは
その上に
小さな音を
そっと のせました。
ぽう。
ぴい。
こんどは、
クロンが
少しだけ
音を のばしました。
ぽーーう。
バンスは、
その音の 下で
ゆっくり
こたえました。
ポーン。
ふたりの音は、
くっついたり、
はなれたりしながら、
カタラズの きの したで
ふわふわ
ゆれていました。
ふたりは
しばらく、
ことばを つかわずに
ハーモニカを ふきました。
ふきおわると、
バンスが いいました。
「また、やろうねえ」
クロンは
すこし ていねいに
あたまを さげました。
「ええ。
ぜひ」
その日、
クロンは
ダンマリヶ丘の あいさつを
ひとつ おぼえました。
ことばを
たくさん つかわなくても、
おとを
わたしたり、
うけとったりしているうちに、
すこし
いいきぶんになって、
おわるころには、
さっきより
少し ともだちに
なっていること。
だれかの リズムに
からだを まかせると、
じぶんの おとも
すこし やわらかくなること。
それが、
ともジャムなのだと
クロンは 思いました。
それは、
クロンにとって
はじめての
ともジャムでした。

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