ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち【第28話(第一部最終話)】バンスのポン

これは まだ、
モカさんが ヂムと あう、
ずっと まえの おはなしです。

モカさんと バンスは、
こどものころ、
とてもなかのよい
ともだちでした。

いっしょに あそんだり、
ハーモニカの れんしゅうを したり
しました。

でも、モカさんは、
おとなに
なっていくにつれて、

ひとまえで
ハーモニカを
ふかなくなりました。

そして、
なぜか
わらわなくなっていきました。

モカさんは、
ハーモニカが
だいすきでした。

ハーモニカのことも、
たくさん
しっていました。

でも、モカさんは、
じぶんの おとを
すきになれませんでした。

おかの みんなとは
ちがうんだと、
おもっていました。

だから、
だんだん
ひとりでいることが
ふえていきました。

それでも バンスは、
モカさんを みつけると、
いつも、

バスハーモニカで

ポン

と、ひくい おとを ならしました。

モカさんと、
いっしょに
ともジャムがしたかったのです。

でも モカさんは、
きこえないふりをして、

どこかへ
いってしまうのでした。

バンスは、
モカさんが
いってしまったあとも、

えがおで

ポン
ポン

と、ふいているのでした。

それから、
ながい じかんが
たちました。

モカさんは、
ヂムと であいました。

おまめさんにも、
あいました。

でも、
ハーモニカが
きゅうに
じょうずに なったわけでは
ありません。

それでも、
モカさんの なかの
かたいところが、

すこしだけ
やわらかくなりました。

あるひの ことです。

バンスが、
いつものように
モカさんを みつけました。

そして、
にこっと わらって、

ポン

と、ひくい おとを ならしました。

モカさんは、
こんどは
どこにも
いきませんでした。

ハーモニカを
そっと
くちに あてました。

すう。

ぷう。

ちょっとだけ、
おとが ゆれました。

バンスは、
うれしそうに

ポン
ポン

と、こたえました。

モカさんも、
もういちど
ふきました。

ぷう。
ぴい。

じょうずな おとでは
ありませんでした。

でも、
ちゃんと
バンスの おとの となりに
ありました。

バンスは、
ゆっくり
ひくい おとを ならしました。

ポン。
ポン。
ポーン。

モカさんは、
その うえに
ちいさな おとを
のせました。

ぷう。
ぴい。
ぷう。

ふたりの、
ひさしぶりの
ともジャムが、
おかに ひびきました。

モカさんは、
ちいさな こえで
いいました。

「バンス、
ありがとな」

バンスは、
いつもいじょうに
ニコニコ
わらっていました。

ポン。
ぷう。
ポン。
ぴい。

おかの かぜが、
ふたりの おとを
とおくまで
はこんでいきました。

 

ダンマリヶ丘のハーモニカ吹きたち
第一部
おわり

 

 

 

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