レモは、
ほんとうは
おちゃが すこし にがてでした。
のむと、
にがくて にがくて、
ふるえてしまうのです。
でも それを、
だれにも いえませんでした。
フクさんが
おちゃを つくっていて、
おちゃを だいすきだからです。
しぃちゃんの おみせは、
なんでも セルフです。
じぶんで きゅうすを もって、
じぶんで おちゃを いれて、
じぶんで のみます。
でも レモだけは、
まえに しぃちゃんから
こっそり
たなの おくの
ちいさな きゅうすを
おしえてもらっていました。
その きゅうすから でるのは、
みためは いつもの
みどりの おちゃです。
でも――
のむと
ほんのり メロンあじ。
それは
しぃちゃんが こっそり よういしてくれていた、
レモちゃ
でした。
フクさんが
「やっぱり おかのおちゃは いいねえ」
と うれしそうに いうと、
レモも
「うん♪」
と にこにこ します。
でも ほんとうは、
こっそり レモちゃを
ついでいるのでした。
あるひも レモは、
みんなと おなじような かおをして、
そっと
たなの おくの
ちいさな きゅうすから
レモちゃを ついで、
りょうてで もって
ひとくち のみました。
ほんのり あまくて、
ほんのり メロンあじ。
レモは
ほっとして、
ちいさく わらいました。
そこへ、
ヂムが
とことこ やってきました。
くびには
あかい ミニハーモニカ。
ヂムは
レモの もっている こっぷを
じっと みました。
レモが
ひとくち のむと、
ヂムは
なんだか それが
とても きになったみたいです。
つぎの しゅんかん――
ヂムは
レモの よこから
すっと かおを だして、
そのまま
こっぷを ちょこっと
のんでしまいました。
レモは
びっくりしました。
「あっ」
でも、
ヂムは
ひとくち のんだとたん――
めを まんまるにして、
にこおっと わらって
「わあー」
と いいました。
とっても
おいしかったのです。
レモは
ちょっと びっくりして、
それから
くすっと わらいました。
「それ、
レモちゃだよ」
ヂムだけに きこえる こえで
そっと いいました。
ヂムは
うれしそうに
もういちど
こっぷを のぞきこみました。
そのときです。
こんどは ヂムが、
となりに あった
フクさんの こっぷにも
てを のばしました。
レモは
はっとして
いいました。
「あっ、そっちは――」
でも
もう おそいです。
ヂムは
ほんものの おちゃを
ひとくち
のんでしまいました。
それから――
ぴたり。
うごきが
とまりました。
めが まるくなって、
くちが
へのじに なって、
ほっぺが
くしゃっと なって――
「うええええん!」
おおなきです。
レモは
あわてて
ヂムの せなかを
とんとんしました。
「にがかった?」
ヂムは
なきながら
こくこく
うなずきました。
レモは
ちょっとだけ
まよってから、
ちいさな こえで
いいました。
「ヂム。
こんどからは
こっちだよ」
そういって、
レモちゃの ほうを
そっと ゆびさしました。
それから、
ヂムにだけ きこえる こえで、
いいました。
「いつか
のめるように なるまでは、
こっちを のもうね」
ヂムは
まだ ちょっと
なきながら、
でも こくんと
うなずきました。
それから
レモに ぴたっと
くっつきました。
レモは
ちょっとだけ
わらいました。
こうして
レモちゃの ひみつは、
しぃちゃんと レモ、
それと ヂムだけの
ひみつに なったのでした。

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