あるひ、
おかの そとから
ひとりの おきゃくさんが
やってきました。
とても
くらい かおを していました。
「なんでも はなしを
きいてくれる
おちゃやさんが あるらしい」
そんな うわさを
きいてきたのです。
みせの とびらを あけると、
ちいさな こどもが
だだだっと
にかいへ はしっていくのが みえました。
おきゃくさんは
ちょっと びっくりしました。
まどぎわには、
おみせの あるじらしい
おばあさんが いました。
でも――
したを むいて
ぐうぐう
ねています。
「ああ……
このかたが」
おきゃくさんは
そっと すわりました。
そして、
ぽつりぽつりと
はなしはじめました。
ひびの つらいこと。
もう なにも するきが おきないこと。
うれしいも かなしいも、
よく わからなく なっていたこと。
しばらく はなしても、
おばあさんは
なにも いいません。
ただ、
ぐうぐう
ねています。
おきゃくさんは
だんだん
おかしくなってきました。
「やっぱり
ただの うわさ
だったのかな」
そうおもって、
たちあがろうと
しました。
そのときです。
しぃちゃんが、
ふっと
かおを あげました。

おきゃくさんは
おもわず
しぃちゃんの かおをみて――
ぷっ。
つぎの しゅんかん、
こらえきれずに
わらってしまいました。
しぃちゃんの かおには、
ふとい まゆ。
まぶたに め。
くるんとした おひげ。
ものすごい
らくがきが してあったのです。
「……ふふっ」
「おばあさんが
こんなに らくがきされてるの
はじめてみた」
しぃちゃんは、
そんなことも しらないで、
なんだか とても
しあわせそうな かおで
ねています。
おきゃくさんは、
しばらく わらいが
とまりませんでした。
わらいながら
おもいました。
わらえた。
こんなに
わらえた。
びっくり
するくらい。
おきゃくさんは
ねている しぃちゃんに、
ちいさな こえで
いいました。
「……ありがとう」
そして
そっと みせを
でていきました。
しぃちゃんは
そのあとも
さらに きもちよさそうに
ねていたのでした。

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