ダンモカまつりの
つぎのひ。
きのうまでの
にぎやかさが
うそのように、
しぃちゃんの おみせには
いつもの
ゆっくりした じかんが
もどっていました。
しぃちゃんは
まどぎわの いすで、
ぐうぐう。
きもちよさそうに
ねています。
その すこし はなれた
せきには、
つばの ひろい
ぼうしを かぶった
おとこが いました。
くたっとした
みどりの ポンチョ。
あしもとには
ふるそうな かばん。
そして、
いすの よこには
ちいさな ギターが
たてかけてあります。
おとこは
まどの そとを みながら、
ゆっくり
おちゃを のんでいました。
「かぜが……」
おとこが
ぽつりと いいました。
「きょうも
おれを
ここへ とどめている」
そのときです。
からん。
みせの とびらが
ひらきました。
ジュウスケです。
ジュウスケは
おとこの かおを みるなり、
にかっと わらいました。
「よ、タレン!
まだいんのか」
タレンは
ゆっくり
ジュウスケを みました。
そして、
すこし とおくを
みるような めをして
いいました。
「いや。
おれは
えいえんの たびびと。
かぜの むくまま、
くもの ながれるまま、
すうじつ たりとも
ひとつの ばしょに
とどまることを――」
「あ、そうそう」
ジュウスケが
いいました。
「らいげつの えんそう、
また ばんそう
たのむぜ」
タレンは
しずかに
おちゃを おきました。
「らいげつか・・。
そのころ
おれが このおかに
いるか どうかは――」
「テンポは
ちょっと はやめな」
タレンは
しずかに
うなずきました。
「わかった」
うしろの せきで
おちゃを のんでいた レモが、
くすっ。
と わらいました。
ジュウスケは
いいました。
「じゃあ、
ちょっと
やってみようぜ」
タレンは
ちいさな ギターを
ひざの うえに
のせました。
「いいだろう」
ジュウスケも
ブルースハーモニカを
かまえます。
すうっ。
ぐにゃ。
ぎゅいん。
ぷわあ。
いつもの
ジュウスケの ブルースです。
その となりで、
タレンの ギターが
なりました。
じゃか。
ぽろん。
じゃか。
ぽろん。
すると、
ジュウスケの おとが
いつもより
すこしだけ
とおくへ
あるいていくように
きこえました。
ぐにゃ。
ぎゅいん。
ぷわあ。
じゃか。
ぽろん。
じゃか。
ぽろん。
ブルースハーモニカと
ちいさな ギターの おとが、
しぃちゃんの おみせに
ゆっくり
まざっていきました。
しぃちゃんは
そのあいだも、
ぐうぐう。
レモは
おちゃを のみながら
にこにこ きいています。
やがて、
えんそうが おわりました。
ジュウスケは
にかっと わらいました。
「やっぱ
いいなあ」
タレンは
ちいさな ギターを
だいたまま、
まどの そとを
みました。
「おとは、
ひとりでも
たびをする。
だが、
なかまが いると、
すこし とおくまで
いける」
ジュウスケは
うなずきました。
「うん。
じゃあ らいげつも
たのむぜ」
タレンは
おちゃを
ひとくち のみました。
「どうかな・・。
それは かぜだけが
しってー」
「ひろばに
しゅうごうな」
「…わかった」
レモは
また、
くすっ。
と わらいました。
タレンは
きょうも、
かぜの むくまま
たびを しています。
ただ――
その かぜは
まだ しばらく、
ダンマリヶ丘に
ふいているようでした。

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